東京ガーデンテラス紀尾井町セレクション 「酒と愉しむ、大人の夜」

東京ガーデンテラス紀尾井町セレクション 「酒と愉しむ、大人の夜」

ハレの日に相応しい華のある品々を、こだわりの器と日本酒で

白壁の土蔵をイメージした風情ある外観。入口の重厚な引き戸も明治時代に実際に使われていたものだそうで、ふとした傷に当時の人々の息づかいを感じずにはいられない。黒船の来航から幕末、明治維新と、鎖国から一転、西洋の文化が押し寄せた時代のカオスでレトロな空気感が、店の設えや調度、器のコンセプトだという。さて、蔵ならば、中にはどんなお宝があるのだろう?

店前で出迎えてくれる、和服姿の女性の笑顔に心が和む。一歩踏み入れれば、凛とした外観に似ず、やさしい空気が満ちていることに誰もが気づくはず。もはや、心の中では「何(食事)を何(酒)と合わせて愉しもう?」と、それしか浮かばない。

ここは銀座の名店で総料理長として腕を振るった木部寿俊さんが独立して構えた店、紀尾井町 ささ樹。華やかさと贅の極み、「伊勢海老の吉野餡掛け」など、ハレの日にとくに相応しい品々を得意とし、前菜、煮物、お造り、焼き物、汁物の一連の流れで美味を構築する、本格的な京風会席には自信をのぞかせる。

料理と酒のマッチングにも一家言あり。なかなか手に入らないものも含め幅広い日本酒を取り揃えるが、あくまでも「お客さまのお好みで」としつつ、木部さんには料理ごとに最善の酒の提案がある。迷ったときにはカウンターの中の木部さんの手を止めてでも、相談するのが得策だ。至福の食と酒のマリアージュを間違いなく体感できることだろう。

そして、この店には料理・酒以外にもう一つ、注目すべきものがある。俳人たちが句会を催した後で楽しむ食事に端を発したとされる、会席料理を得意とする同店らしく、器の豪華さには目を瞠る。江戸と明治、それぞれの時代の古伊万里は焚き合わせやお造りに華やぎを添え、木目を生かした山中塗りの椀の中、澄んだだし香る吸い物は、なんとも誇らしげだ。酒と料理と器と・・・大人の愉しみの大事な要素は、ここにある。

入口左手には軽く仕切られた空間に、4人掛けのテーブル席が4つ。アプローチを進んだ先には少し赤みを帯びた木肌が美しいカウンター席と、完全なプライベート空間を叶える6名さま用の個室、4人掛けの半個室がひとつずつ。内壁にもクリーミーな白壁が使われ、「幕末から明治」のコンセプト通り、レトロな雰囲気が味わい深い。

ハレの席は必ず候補に入れたいささ樹には、一品との酒合わせの愉しみももちろんある。仕事帰りに一献。今宵、いかがだろうか。

「活巻海老の天ぷら」×「而今」

関西風に白絞油でカラッと揚げた活巻海老に酢だちをしぼり、天然塩で。海老の天ぷらには「而今」の中でも「純米吟醸 愛山火入れ」(1,250円)を。生産量が少ない酒米・愛山を使用して醸されるこちらは、この時季だけのお楽しみ。写真の天ぷらは「割烹天ぷら会席」より(前菜から甘味まで全10品 / 13,000円)。※価格はいずれもサービス料別途10%

「ふく鍋」×「ひれ酒」

前菜、ふくさし、ふく鍋(写真)、酢の物、ふくから、ふく雑炊…と、その名の通りの「ふく三昧」コース(10,000円)には、もちろん、「ひれ酒」(1,500円 / つぎ酒 1,000円)を。11月も半ばを過ぎるあたりから深まる寒さに、芯から、そして心の底から温まる、絶対的な相性だ。「ふく」と澄む呼称も縁起がいい。※価格はいずれもサービス料別途10%

酒いろいろ

左から「而今 純米吟醸 愛山火入れ」(1,250円)、「七本鎗 純米 山田錦 ひやおろし」(1,100円)、「鳳凰美田 剱」(1,130円)、「伯楽星 特別純米」(1,130円)、「山和 純米吟醸ひやおろし」(1,100円)。明るい接客にファン多数。自らもお酒が大好きだという高橋さんが手にする「黒龍 火いら寿」は、ご参考まで。※価格はいずれもサービス料別途10%

作る人、木部寿俊さん

「『魔王』、『村尾』をはじめ、焼酎も充実しております。焼酎好きの方もぜひ」と、料理長の木部さん。木部さんの人柄があればこそ、店全体にやさしい空気が満ちるのだろう。カウンター越しに、酒、料理、器の話などで盛り上がるのも、ここならではの楽しみだ。ちなみに、好きな日本酒は「万能の食中酒」と評する「伯楽星」。


無限に広がる美食の可能性を、同郷・気仙沼、東北の酒とともに

帆布製の洒落た暖簾をくぐった先の美味なくして、紀尾井町の夜は始まらない。

銀座 㐂いち。店主・千葉憲二さんを人気ラーメン店の店主として知る方は少なくないだろう。しかし、日本料理の名店で、かつて総料理長にまで上り詰めた人物であることをご存じだろうか?真逆のようにさえ感じさせる、日本料理とラーメン。いずれの道でも頂を極めた千葉さんが日本料理の世界へと戻り、銀座の本店に続いてこの紀尾井テラス店だ。素材の目利きはいうに及ばず、ここでは大胆にして繊細な仕事を施した丁寧な料理がいただける。銀座 㐂いちは千葉さんの料理人人生の集大成といえるのかもしれない。

さて、作り手の経歴をおさらいしたところで、料理の話。カウンターの上の大皿料理の数々は、見渡すだけで日頃の不摂生を帳消しにしてくれそうなバランスのよさが窺える。黄や橙、茶などの土の香漂う根菜たちを盛り込んだそれは、筑前煮だろうか? あるいは葉物野菜と肩を並べ、澄んだ黄金色のだし汁に心地よさげにつかる肉や魚介たち。実際、「あれこれバランスよく召し上がって欲しい」と、千葉さん。「食べたいもの=体が欲しているもの」とも。それゆえ、ここでは食べたいものを食べたい量で提供する。

大皿料理のほか、下段で紹介する「馬刺し」をはじめ、月替わりを含めてメニュー数は驚くほどに多い。まずは今日のおすすめを聞いて、ストーリーを描きたいところ。席はカウンター席が断然楽しい。

例えば、こんな使い方はどうだろう?仕事や家の事に追われて連日、出来合いの総菜で済ませるなんてことは誰しもある。そこで、この店。不足しがちな “野菜” 料理、いつも肉に先を越される “魚” の一品、本当に好きなものを一皿。あとは〆の「鯛そば」をどうするか。気の合う仲間を誘ってシェアするのもいいだろう。それらを日本酒をおともに愉しめば、疲れはアルコールが洗い流してくれ、ただ心地よさを携えて日常へと再び戻るのだ。銀座 㐂いち、それはまるで故郷のような店。

「ホッとする空間と料理でもてなしたい」という千葉さんは、「美味しいものを作ろう」ではなく、「喜んで欲しい」の一心で仕事をする。懐の深い㐂いちの美味と種類豊富な酒で、大人の夜を・・・。 酒は同郷・気仙沼の男山や東北のものを中心に、辛口を選んで置く。

冬はあん肝や白子、春にはえぐみのきいたたけのこや菜の花などの春野菜、初夏を知らせる稚鮎…と、酒が欲しくなる㐂いちの美味の誘惑に休みはない。

頼まずにはいられない、名物「馬刺し」(4,110円)

本場・熊本直送。「自慢の品を」とリクエストすると必ず名前の挙がる名物にはもちろん、タテガミも含まれる。現地でもなかなか出会えない極上の品だ。スライスオニオンや浅葱とともに。宮城気仙沼・男山本店の美酒、繊細ながら凛とした旨みを持つ「蒼天伝 純米吟醸」(1,950円)で。

濃いめの味が酒を誘う「しまあじのごま醤油」(1,620円)

背の銀皮を残してひいたしまあじを特製のごま醤油だれにつけて。もっちりとしたしまあじの脂に負けないよう、やや強めにたれが絡んで酒が進む。刺身とはまた違った、生の魚の楽しみ方だ。青森県産の酒米・華吹雪を使用した「田酒 特別純米」(1,620円)のすっきりした味わいが恋しくなる。

熱々のうちに…「海老芋のかにあん掛」(2,160円)

ねっとりときめの細かい海老芋の旨みを引き出すため、含め煮にしてからサッと揚げる。丁寧にほぐされたかにの身と、それと同じくらいの細さに整えられた椎茸や絹さやがにぎやかに集うあんが海老芋に絡みついて、美味。コクも米の旨みもいきる宮城の酒「日高見 超辛口純米」(1,410円)を。

田舎に帰ったような温かさ。奥の個室

入口左手に4名さままでのテーブル席の個室がひとつ。突き当たり奥にある個室は、6名さまでゆったり使える広さがある(写真)。㐂いちのホッとする料理と同様、田舎に帰ったときのような温かい雰囲気がうれしい。※個室利用の場合サービス料別途10%


全国の銘酒と味わう「はじめまして」のおでん

裏路地に佇む老舗料亭にでも入るかのように、白い砂利の上の敷石を踏み、暖簾をかき分けながら格子戸を抜けて店内へ。思いがけず明るく開けたそこには穏やかなだしの香が漂い、右手に4人掛けのテーブル席が2つ、左手には8人掛けの白木のカウンター席がゆったりと長く続く。板場で忙しなく立ち働く職人さんの背後にはまた、料亭の座敷からのぞむような箱庭風の設えがあり、ここが最新の設備を備えたビルの中であることを、いっとき忘れさせる。

関西出身の方ならずとも、ご存じではあるまいか。大阪・北新地「かが万」グループの系列店、万ん卯。おでんの店として初めてミシュランの星を獲得したことで話題になった万ん卯の美味が、東京ではここ、紀尾井町で味わえる。

夜の基本メニューは20,000円の「おまかせ」。サービス料も不要で、あとは飲み物代が加算されるのみ。いたってシンプルな料金設定だ。お通しに続き、タイミングをはかって供されるおでんをつつきながら、クイッと一杯。その日味わえるものをしたためたお品書きの中から、好きなタネをリクエストするのもいいだろう。

おすすめしたいのは、何をおいてもまずは「大根」。東京おでんでももちろん花形のタネではあるが、万ん卯の「大根」は一味違う。繊維を感じないほどにとろっと蕩けるようなその食感と、昆布とかつおで丁寧にとっただしや周りのタネから溶け出た旨みを丸ごと抱え込んだかのような、深くやさしい味わいに酔いしれて欲しい。今回は新潟の酒屋、酒・ほしのの「鄙願」で。同じく、酒・ほしのの「親ばか餅」がおでんのお品書きに載ることもあるので、見つけた時には、ぜひご一緒に。

続いて注目して欲しいのは、関西ならではのタネたち。中でも、時間をかけて下ごしらえされ、驚くほど柔らかく仕上がっている鯨の舌「さえずり」を、京都・伏見の老舗蔵、松本酒造の「澤屋まつもと」とともに。

板場の中央で穏やかな湯気を立ち上らせる丸鍋の中、大根やお揚げさん、ぷっくりと膨らんだねりものが礼儀正しく並ぶ様子は、“おでん” ではある。しかし、シンプルな見た目とは裏腹に、ひと口含めば幾重にも重ねた旨みの層がいっきにほどけて口の中いっぱいに広がり、ただただ驚かされる。それは、「おでん」の概念が崩れた瞬間。

あなたの「おでん」の概念も間違いなく変えてしまうであろう “至高の煮物” 万ん卯のおでんを、全国各地から揃える30種類以上の日本酒とともに、迷い、選び、堪能してはいかがだろう。折しも、温かいものの恋しくなる秋冬。「はじめまして」のおでんに舌鼓を。

穏やかな飴色に艶めく。その名は「大根」

万ん卯自慢のおだしに溶け込んだほかのタネたちの旨みもいただいて…。やさしい飴色に輝くその身に箸をすーっと入れ、おかか、ねぎとご一緒に。おともには、新潟の酒屋、酒・ほしのが大洋酒造の一樽を買い取って醸す「鄙願」はいかが?

関西ならではの「さえずり」で一献

「見た目が地味で…」(スタッフの平原さん)と、当初、紹介を迷った鯨の舌「さえずり」は関西ならではのタネ。手をかけて下ごしらえすることによりやわらかく仕立て、やや強めの下味を入れてだしの中へ。後味のキレがよい、京都・伏見の老舗蔵、松本酒造の「澤屋まつもと」で。

揃える銘酒は30以上

青森、新潟、福井、京都、佐賀…日本全国より取り寄せる、30種類以上の銘酒たち。辛口から旨口のものまで幅広く取り揃えているので、お好みのものがきっと見つかる。写真・左から、「赤武」、「水尾 紅 ひやおろし」、「黒龍 純吟」、「醸し人九平次 EAU DU DESIR 純米大吟醸山田錦 2015」。

静かな時間が過ごせる、落ち着きの個室

奥まった一画に、6名さままで使用可能な個室をご用意。接待をはじめ、静かななかでの会食に利用したい。