吉村 貴子展 雲根 UNKON – おわりのないものがたりー

吉村 貴子展 雲根 UNKON – おわりのないものがたりー

日時
2023年7月11日(火)~8月25日(金)11:00~20:00 ※最終日は16時まで
場所
紀尾井タワー 2F オフィスエントランス

東京ガーデンテラス紀尾井町・2023年第4回目のアート展示は、彫刻家・吉村 貴子氏の作品を展示いたしました。

吉村 貴子展 雲根 UNKON – おわりのないものがたりー

彫刻家吉村 貴子は、石とガラスを用いて、実体は無くても、淡いつながりで形成される「空」(くう)の世界の表現に挑んでいます。

禅僧の漢詩資料である『中華若木詩抄』に、「雲ハ石ヨリ生ズルニヨリテ、石ヲ雲根ト云ゾ」とあります。高い山の岩にぶつかった水蒸気は、命を得て湧き上がり、さまざまな形に変化していきます。
それが雲だというのです。つかみどころの無い雲の根源、つまり「雲根」は、正反対に圧倒的な存在感をもった石なのです。石から生まれた雲は、雨に姿を変え、岩山へ降り注ぎます。雨は激流となり滝となり、山を削り、流れ落ちていきます。

一方では、小さな雫となって一滴、また一滴としたたり、途方も無く長い時間をかけて岩に穴を穿ちます。時には宝石のように光る粒になって、植物の葉の上を転がっていきます。自由に姿を変えながら流れ、集まった水は蒸発し、高い山の岩にぶつかって再び雲になるのです。

かねてより石とガラスを素材に、そこにあることはわかっているのに触れようと手を伸ばしてもすり抜けていく「何か」を作品として表現してきた吉村は、今回「雲根」を終わりの無い石と雲の物語として表現しています。

硬い石を磨き上げずに輪郭が作られ、曖昧と確かさが背中合わせに共存する石彫作品。キャスト鋳造した塊を削り、磨いて形を作る過程で、生み出される半透明の色と滑らかさ、そして形が一致することで生み出される触覚的な気体感を感じるガラス。この二つの素材が、吉村の感性によって融合されることで、ゆっくりと時を刻む「雲根」空間を創出致します。

Pickup EVENT